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聖歌は生歌

聖歌は生歌

葬儀

 
葬 儀

 教会の典礼の中で、その神学が大幅に改められたのは「葬儀」ではないかと思います。現在「葬儀」について、教会は『典礼憲章』81条で次のように明記しています。「葬儀は、キリスト信者の死の復活的性格をより明らかに表現し、典礼色も含めて、各地方の事情と伝統に、よりよく適合したものでなければならない。」さらに『カトリック儀式書 葬儀』の「緒言」2項には、より具体的に、葬儀の考え方が記されています。「教会の葬儀は、死者のために祈ることのみを目的としているのではない。生者のために祈る場でもある。神ご自身が、悲しみのうちにある遺族の力、励ましとなってくださるように祈ると同時に、洗礼によってキリストの死に結ばれた者が、その復活にも結ばれることができる、という復活への信仰を新たにし、宣言する場でもある。」この、赤字の部分は、通常のミサの「特定の死者のためにミサがささげられる場合」の祈りにも見られ、パウロの復活についての神学を敷衍したものと言えます。
 このような、点を考慮すると、わたくしは「葬儀ミサ」は、基本的に「復活の主日」と同じで良いのではないかと思っています。『ローマ・ミサ聖歌集』では、まだ、ここまで踏み込んではいませんが、復活節の自由選択では、復活節固有のものも選ばれています。

 さて、それでは『典礼聖歌』では、具体的にどのような選曲が考えられるか見てゆきたいと思います。
 答唱詩編とアレルヤ唱は『朗読聖書』の一部で、第一朗読や福音朗読に、依存しますから、これらは、先にも挙げましたが『カトリック儀式書 葬儀』に従ってください。ここには、巻末付録三に「葬儀で用いる聖歌(例)」も挙げられていますので、参考にすると良いでしょう。ただし、入祭・奉納・会食(拝領)などの行列を選ぶ場合の選び方は福音朗読が基本ですから、これらの聖歌も福音朗読から考えるようにしてください。
 まず、三つの行列の歌です。
【入祭の歌】
 345「わたしは復活し」(入堂の時間よっては何回か繰り返す)
 144「谷川の水を求めて」*奉納
 173「わたしたちは神の民」など。
【奉納の歌】
  98「しあわせな人」
 154「涙のうちに種まく人は」
  52「神のはからいは」
*会食
  53「神のはからいは」*会食
 117「主は豊かなあがないに満ち」
 119「主はわたしの光」
*会食 など。
【会食の歌】
  82「神を敬う人の死は」
 128「主を仰ぎ見て」
129「主を仰ぎ見て」*奉納
  70「神よあなたの顔の光を」
  71「神よあなたの顔の光を」
  72「神よあなたの顔の光を」
*入祭
(*のついているものは、その行列の歌でもうたえるものです

 次に、葬儀ミサでは、告別式や献花がありますが、特に、献花の時は、上記の三つの行列の歌と同じように、献花の行列の間に歌うと良い場合が多いようです。ただし、献花は葬儀の規模によっても人数がまちまちですから、その、葬儀の状況に応じて、臨機応変にできるよう、普段からいろいろと考えたり、聖歌のレパートリーを増やしておきたいものです。献花の人数が多い場合には、詩編の歌のように、会衆と先唱者が交互に歌うものを多く入れると、参列者・行列の長さに応じて対応しやすいですし、簡単な答唱句ならば、参列者もすぐに覚えて、一緒に歌ってくれるようになるでしょう。また、普段からよく準備された聖歌隊が奉仕する場合で、参列者の人数が非常に多い時には、聖歌隊だけが歌うものを入れると、会衆は息をつくこともできます。いずれにしても、献花はその葬儀によって人数もまちまちなので、普段からいろいろな場合を考えておきたいものです。
 献花の時の聖歌は、答唱詩編と上記の三つの行列の歌で用いなかった詩編の歌の他に、
 166「喜びに心をはずませ」
  46「神の注がれる目は」
  47「神のそそがれる目は」

全員あるいは聖歌隊だけで歌うものとしては、
 351「復活の続唱」
 346「勝利と力は神のもの」
*出棺
 387「神はキリストのうちに」
などが挙げられます。
 ここでは、このブログの性格上 『典礼聖歌』に限定しましたが、その他のものからも、葬儀の性格や朗読にふさわしいものを随時、取り入れていってください。
 
 葬儀のさらに詳しい聖歌の解説については、いずれホームページ1ページを使って詳しく記述したいと考えています。
 以上、現在の葬儀の神学を踏まえ、葬儀ミサの聖歌(案)を考えてみました。葬儀はミサ以外にも「ことばの祭儀」によるものもあります。また「命日祭のミサ」もありますが、どちらも、上記を参考にしてください。
 とはいえ、今までの葬儀ミサの聖歌とかなり異なっており、いきなり、このようにすると戸惑う方もおられると思います。オルガニスト、聖歌隊などの聖歌奉仕者はもちろんですが、主任司祭や典礼委員など、中心となるかたがたと現在の葬儀の神学についての共通理解を深め、その上で小教区の葬儀をどのようにしてゆくかを考えていっていただきたいと思います。冒頭にも挙げた『カトリック儀式書 葬儀』の「緒言」には葬儀の意義や司牧的配慮についてが書かれていますから、司祭だけではなく、典礼委員や聖歌に携わる方々は、ぜひ、一緒に読むことをお勧めします。場合によっては、小教区全体で、葬儀に関する研究会や研修会を企画すると良いかもしれません。その上で、葬儀ミサの冒頭や式次第のポントごとに、現在のカトリック教会の葬儀感を説明するような配慮も、宣教上重要ではないかと思います。 
 第二バチカン公会議の典礼の刷新で大きく変わったものの一つは葬儀の神学ですが、その周知はまだまだ不十分なのが現実ではないでしょうか。非常に大きな変化ですが、「キリスト信者の死の復活的性格をより明らかに表現」するとともに、「神ご自身が、悲しみのうちにある遺族の力、励ましとなってくださるように祈る」葬儀と聖歌になるようにしてゆきたいものです。


【参考文献】
第二バチカン公会議『典礼憲章』(サンパウロ 1986 )
『カトリック儀式書 葬儀』(カトリック中央協議会 1993 )

 

 
 
 
 


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